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2007年12月05日

疥癬と有料老人ホーム

疥癬


数日して、村越様が退院されました。幻覚騒動やら、救急対応やら、ドタバタしていましたが、無事に帰ホームされれたことにホッと胸をなで下ろしました。夜勤スタッフは、まだ色々な物が見えてしまう村越様に、覚悟を新たにした様子が見受けられました。夜は、幻覚に悩む村越様のナースコールと闘う為です。勿論ナースコールをするのは、村越様だけではないので、少し重そうな表情が印象的でした。

しかし、悪夢は、いつの間にか舞い降りて、根深くそこに住み始めていたのでした。悪夢は、始まります。

それは、猛烈な痒みを伴い、体に寄生するヒゼンダニと言う虫でした。疥癬です。近年、また増えつつある皮膚病で、きっとこの仕事をしなければ、疥癬と言う言葉に無縁だったと思うし、それを体験することなどなかったと思います。疥癬の症状は、猛烈な痒みと体中に出来る湿疹です。人の肌から肌へ感染する感染症なので、対策が必要になってきます。まず、疥癬に感染している方を隔離します。この人と接するときは、体を包む物着て、なるべく肌の露出を避けなくてはなりません。我々のホームは、病院ではありません。俗に言うケアハウスと呼ばれる物です。病院で行う疥癬対応と同じ事が出来るか?と言われると、それはなかなか難しい事でした。

村越様は、痒みを訴えていましたが、表だって、疥癬の湿疹が見られなかった為、疥癬発見に少し時間がかかりました。自立されている方なので、体を直接見る機会がありませんでした。唯一体を見られる機会は入浴でしたが、退院後は、様子を見るという理由で、しばらく入浴を避けていたのも発見が遅れた理由の一つです。

入浴係から、村越様の体に湿疹が出ている事を告げられ、ホームのドクターから、皮膚科受診の指示が来ます。疥癬検査のため、皮膚科に受診します。しかし、検査結果は、マイナス。疥癬に感染している疑いはないとの診断。軟膏を処方され、痒みの部分に塗るよう指示されました。ホーム全体が、ホッと胸をなで下ろしたのを覚えています。

その後、村越様と接すると、相変わらず魚や、ドクロが見えると訴えられますが、なるべくお部屋にお伺いして、お話を聞くように勤めました。幻覚が見える人には、その幻覚を否定してはいけないと習いました。ヘルパー二級の講座でも習ったし、今のホームの教えでもそう習いました。しかし、村越様は、それが幻覚だと、家族の方に窘められていたらしく、「幻覚だという事は、分かるんだけど、見えてしまう物は仕方がないじゃない。」そんな訴えを、お聞きするために、部屋に足を運びました。「吉川さん。今日の魚はなんですか?」そう言うと、「今日はボラ。大群が押し入れから押し寄せてくるわ。今も貴方の顔の側を泳いでいる。」私の顔を指さして、そう訴えられるので、そのボラをつまんで食べる素振りを見せてみました。「イヤだぁ!駄目よ。生では食べられないわ!」「食べちゃいました」そんな会話を真剣にしていました。村越様は、痴呆はありません。薬の副作用で、幻覚が見えてしまうだけです。私が出来ることは、見えてしまうことの負担を、話を聞くことで発散させる事だけでした。しばらくすると村越様が、卒倒していらっしゃいます。私の顔を指さして、「あな、あな、貴方の鼻からさっき食べたボラが、秋刀魚になって出てきたわ!」と、目を丸くして驚いていらっしゃいます。驚いたのは、本当は、私の方ですが。

しかし、そんな会話を数日続けてみると、ある日ドクロが手を振って部屋から出ていった。と教えてくれました。それ以来、お魚ちゃんもあまり来なくて、部屋が静かになったわとおっしゃっていました。早番だったある日、村越様の顔色が、とても良い事を、本人にお伝えすると、「昨日はよく眠ることが出来たの。」嬉しそうに語って下さいました。それから、段々村越様の具合が良くなり、お部屋で食事されていたのに、食堂に出てこられるまで回復しました。体調が、回復すると共に、我々に対する厳しい指摘も復活されたようで、食事の味や、堅さ、盛りつけ、スタッフの動き、御入居様に対する配慮。食堂で、大きな声で駄目出しされるその姿に、スタッフ一同『元気になられたね』と言う表情を浮かべていました。言葉にはない、顔の表情が伝える仕事中のテレパシーみたいな会話です。少し苦笑いをしながら私も、表情で返しました。

一本の電話が鳴りました。その電話をとった人の顔が曇ります。「ええ。はい。」相手の話を、複雑な面もちで聞き入っていました。御入居様が風邪で入院されている病院からでした。そこにいた全員が息をのみ、その人を見守りました。電話を切ると、重たい口調で内容を語り始めます。「M様から、疥癬の卵が発見された」と。

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投稿者: 日時: 2007年12月05日 05:12 | パーマリンク |TOPページへ   ▲画面上へ

疥癬と有料老人ホームを最後までお読下さいましてありがとうございます。
用語解説

・ショートステイ
介護を行う家族が休養、病気などで一時的に介護が困難になった場合に、特別養護老人ホーム、有料老人ホームなどで一週間程度預かってもらい、介護の負担を軽くすることを目的にしたもの。
・通所介護
一般的に「デイサービス」と呼ばれ、在宅で介護を受けている人が、日帰りで施設サービスを利用すること。行き帰りの送迎や食事、入浴、レクレーションや機能訓練を受けることもできる
・特別養護老人ホーム
「介護老人福祉施設」とも呼ばれ常に介護を必要とする要介護度1以上の人が入所する施設。かかる費用としては平均月5万4000円と安価だが、入所待ち期間が2~3年で主に相部屋(現在は個室化が進んでいる)での入所生活を送ることになる。
・認知症
一度獲得した知能が、後天的に脳や身体疾患を原因として慢性的に低下をきたした状態で、社会生活、家庭生活に影響を及ぼす状態と定義されている。認知症をきたす疾患としては、アルツハイマー型が40数パーセントと最も多く、これに脳血管性型が30数パーセントで、この二つをあわせて、認知症の80% を占めている。認知症の約10%に、ホルモン異常やうつ病、中毒、正常圧水頭症、慢性硬膜下血腫といった早期に治療すれば治る可能性のある可逆性のものが含まれている。以前は痴呆症と呼ばれていた。

あ 悪性関節リウマチ  悪性腫瘍  アクティブ80ヘルスプラン  アセスメント  アニマル・セラピー  アルツハイマー型老年認知症(痴呆)  安楽死  医学的リハビリテーション  育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律  移送サービス  遺族年金  一級ホームヘルパー  一般型特定施設入居者生活介護  医療費  医療保険制度  インフォームド・コンセント  うつ病  運動療法  エアマット  NPO  MRSA  嚥下障害  音楽療法  オンブズマン制度  か 介護給付  介護記録  介護サービス計画  介護支援専門員  介護実習・普及センター  介護付有料老人ホーム(一般型)  介護付有料老人ホーム(外部サービス利用型)  介護認定審査会  介護福祉士  介助扶助  介護報酬  介護保険  介護保険施設  介護保険の第1号被保険者  介護保険の第2号被保険者  介護保険法  介護保険法の改正  介護予防  介護予防サービス  介護療養型医療施設  介護老人保健施設  介護老人福祉施設  疥癬  改訂長谷川式簡易知能評価スケール  外部サービス利用型特定施設入居者生活介護  かかりつけ医  核家族  仮性認知症(痴呆)  片麻痺(片まひ)  加齢  看護師  関節リウマチ  きざみ食  義肢  義肢装具士  ギャッチベッド  QOL  虚弱高齢者  居宅介護サービス費  居宅介護支援  居宅介護支援事業者  居宅介護住宅改修費  居宅介護福祉用具購入費  居宅サービス計画  居宅サービス事業者  居宅療養管理指導  緊急通報装置給付貸与事業  グループホーム  車いす  ケアカンファレンス  ケア付マンション  ケアハウス  ケアプラン  ケアマネジャー  ケアマネジメント  経管栄養  軽費老人ホーム  ケースワーカー  健康型有料老人ホーム  言語聴覚士  見当識障害  高額介護サービス費  後期老年人口  高血圧症  膠原病  拘縮  高齢社会  高齢者虐待  「高齢者、身体障害者等が円滑に利用できる特定 建築物の建築の促進に関する法律」  高齢者世帯  高齢者総合相談センター  高齢者の居住の安定確保に関する法律  高齢者向け優良賃貸住宅  誤嚥  誤嚥性肺炎  国民生活センター  骨粗鬆症  ゴールドプラン21  コレクティブハウジング  さ 在宅医療  在宅介護  在宅介護支援センター  在宅酸素療法  在宅療養支援診療所  作業療法  作業療法士  施設サービス  施設サービス計画  市町村特別給付  失見当識  失語症  指定介護療養型医療施設  指定介護老人福祉施設  指定居宅介護支援事業者  シニア住宅  視能訓練士  社会福祉士  社会福祉主事  社会福祉法  社会保障  住宅型有料老人ホーム  巡回型ホームヘルプサービス  小規模生活単位型指定介護老人福祉施設  食事介護  褥瘡  ショートステイ  初老期認知症(痴呆)  シルバーハウジング  心筋梗塞  人口肛門  人工透析  寝食分離  心臓ペースメーカー  心不全  生活支援ハウス  生活保護  清拭  成年後見制度  政府管掌健康保険  世界保健機関  切迫性尿失禁  せん妄  前立腺肥大症  足浴  ソーシャルワーカー  措置制度  た 第一種社会福祉事業  第二種社会福祉事業  ターミナルケア  短期入所生活介護  短期入所療養介護  地域型支援センター  地域ケア会議  地域包括支援センター  痴呆  チームケア  中心静脈栄養  通所介護  通所リハビリテーション  痛風  デイケア  デイサービス  電動車いす  糖尿病  動脈硬化症  特定施設入居者生活介護  特別養護老人ホーム  な ナイト・ケア  日常生活動作  日常生活用具給付等事業  入浴介助  尿失禁  認知症(痴呆)  認知症高齢者  認知症高齢者グループホーム  認知症対応型共同生活介護  寝たきり老人  脳血管障害  脳血管性認知症(痴呆)  脳梗塞  脳出血  ノーマライゼーション  は 徘徊  徘徊感知機器  配食サービス  廃用症候群  8020運動  バリアフリー  日和見感染症  腹圧性尿失禁  福祉事務所  福祉人材センター  福祉用具  平均寿命  訪問介護  訪問看護  訪問入浴介護  訪問リハビリテーション  保健所  歩行器  ホスピス  補装具  ホームヘルパー  ボランティア  ま まだら認知症(痴呆)  ミキサー食  民間介護保険  や 有料老人ホーム  有料老人ホーム協会  ユニットケア  ユニバーサルデザイン  要介護状態  要介護度  要介護認定  要支援状態  予防給付  ら 理学療法  理学療法士  リバースモーゲージ  リハビリテーション  留置カテーテル  流動食  寮母  療養病床  老化  老人クラブ  老人性白内障  老人性認知症疾患療養病棟  老人福祉施設  老人福祉センター  老人福祉法  老人ホーム 

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