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2007年10月12日

認知症と帰宅願望

Sさんがもう1つ1年あまり居ついた部屋を住処と認識しないのは、台所がないからではないかとの現場の意見があった。住まいとホテルの最大の違いはまさにキッチンのあるなしがキーポイントとなっていることは間違えないだろう。


普通のホテルで洗面、トイレ、お風呂付は標準装備であるが、簡易にしろキッチンは付いているところは少ない。洗濯機は外においているところもあるので、あまり気にならないだろう。特に女性にとっては台所というのは高齢になっても自分のなわばりというか、陣地であるという意識は多かれ少なかれ存在しているように感じる。料理が好きとか、嫌いとかもあまり関係ないように思える。主婦という位置づけのもっている砦なのかもしれない。

グループホームという在宅と施設のあいのこのような施設は、個室になっているが、台所やリビング(お茶の間)の機能をとても重要視している。生活の中に食事づくりや家族的な団欒があると想定してそういう空間を積極的に活用したケアを実践している。Sさんのような方は本来は高齢者集合住宅やグループホームの生活に適合した方であり、ショートスティ、それも社会的入院を持ち込んだ暮らし方ではいつまでも流浪の民であり、心の安らぎを得るのは難しいに相違ない。


一日単調な生活の中で認知症にかからないのは、たぶん常に我が家ではない緊張感を強く持たれているからであろう。一人暮らしの復活は当然無理なことは本人も認識している。今は頼れる先もない。不安が依存心に変わり、自らの生活圏を狭め、自虐行為のような引きこもり状態を作り出しているように思える。

お預かりしている施設はあくまでも在宅支援の一環としてのサービス提供なので、財産管理の代行や積極的に相談にのるのは立場上難しい。Sさんは月々ショートステイの自己負担として二十数万は支払いがある。食費や居住費をいただくように介護保険法の改正が行われてからより自己負担は増加したはずである。その他にご自宅の維持費(電気、ガス、水道も基本料金はかかるので)を負担し、医療費も負担されている。

社会的入院も合わせると自宅にはざっと10年はお帰りになっておられない。年金だけでなくて資産をお持ちのようだと職員はもっぱら噂しているが、今のところ支払いが滞る雰囲気はない。帰巣本能に近いものがあるのかもしれないがショートスティのロングという特殊なスタイルで自分の気持ちを支えているのはとても大変なことでさぞつらい思いをされていると察している。

施設で晩年お暮らしになる方々で、認知症がそれなりに進行してもあまり共通して起こる症状のひとつとして起こるのが帰宅願望である。言葉に出して「帰りたい」とはっきりおっしゃることは予想されるよりは実際少ないように思われる。多くの方が「そろそろ、うちに帰らないといえのもんが心配しますんで。」とか、「仕事はおわりましたからお先に失礼いたします。」、「子供たちがおなかをすかして待っていますので。」・・・いろいろあるが、ここが自宅ではないこと、自分の魂の置き所ではないことを異口同音におっしゃる方が多い。

無言で施設から出ようとしたり、落ち着かなく不穏の状態になるのも黄昏時が多い。どこにいるかはわからなくなってもここが自分の家でないことがどうしてわかるのかは言葉では説明が難しい。「今日はもう遅いのでもう一晩お泊りくださいませんか?」とお話することもよくある。これはショートスティのような中途半ぱな施設でも入所施設、老人ホームでもあまり大差ないと思う。

では家というのは人間の生活にどのような意味があるのだろうか。中年のサラリーマンの皆さんはどうしてそろって住宅ローンを背負い込んでまでマイホームが欲しいのだろうか。家は自分がお墓に持っていけるものではない。不動産だから当然だが。ただし、マイホームには家族との生活や自分の人生の思い出が存在するのだと思う。

子供たちが大好きな絵本に「ちいさいおうち」(福音館)本がある。これは高齢者に読み聞かせをする中で人気がある。世代と家族と、四季、時代の変遷をちいさいおうちはずぅっと見守り続けていくストーリーである。まだお読みになって折られない方はぜひご一読を。

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投稿者: 日時: 2007年10月12日 09:47 | パーマリンク |TOPページへ   ▲画面上へ

認知症と帰宅願望を最後までお読下さいましてありがとうございます。
用語解説

・ショートステイ
介護を行う家族が休養、病気などで一時的に介護が困難になった場合に、特別養護老人ホーム、有料老人ホームなどで一週間程度預かってもらい、介護の負担を軽くすることを目的にしたもの。
・通所介護
一般的に「デイサービス」と呼ばれ、在宅で介護を受けている人が、日帰りで施設サービスを利用すること。行き帰りの送迎や食事、入浴、レクレーションや機能訓練を受けることもできる
・特別養護老人ホーム
「介護老人福祉施設」とも呼ばれ常に介護を必要とする要介護度1以上の人が入所する施設。かかる費用としては平均月5万4000円と安価だが、入所待ち期間が2~3年で主に相部屋(現在は個室化が進んでいる)での入所生活を送ることになる。
・認知症
一度獲得した知能が、後天的に脳や身体疾患を原因として慢性的に低下をきたした状態で、社会生活、家庭生活に影響を及ぼす状態と定義されている。認知症をきたす疾患としては、アルツハイマー型が40数パーセントと最も多く、これに脳血管性型が30数パーセントで、この二つをあわせて、認知症の80% を占めている。認知症の約10%に、ホルモン異常やうつ病、中毒、正常圧水頭症、慢性硬膜下血腫といった早期に治療すれば治る可能性のある可逆性のものが含まれている。以前は痴呆症と呼ばれていた。

あ 悪性関節リウマチ  悪性腫瘍  アクティブ80ヘルスプラン  アセスメント  アニマル・セラピー  アルツハイマー型老年認知症(痴呆)  安楽死  医学的リハビリテーション  育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律  移送サービス  遺族年金  一級ホームヘルパー  一般型特定施設入居者生活介護  医療費  医療保険制度  インフォームド・コンセント  うつ病  運動療法  エアマット  NPO  MRSA  嚥下障害  音楽療法  オンブズマン制度  か 介護給付  介護記録  介護サービス計画  介護支援専門員  介護実習・普及センター  介護付有料老人ホーム(一般型)  介護付有料老人ホーム(外部サービス利用型)  介護認定審査会  介護福祉士  介助扶助  介護報酬  介護保険  介護保険施設  介護保険の第1号被保険者  介護保険の第2号被保険者  介護保険法  介護保険法の改正  介護予防  介護予防サービス  介護療養型医療施設  介護老人保健施設  介護老人福祉施設  疥癬  改訂長谷川式簡易知能評価スケール  外部サービス利用型特定施設入居者生活介護  かかりつけ医  核家族  仮性認知症(痴呆)  片麻痺(片まひ)  加齢  看護師  関節リウマチ  きざみ食  義肢  義肢装具士  ギャッチベッド  QOL  虚弱高齢者  居宅介護サービス費  居宅介護支援  居宅介護支援事業者  居宅介護住宅改修費  居宅介護福祉用具購入費  居宅サービス計画  居宅サービス事業者  居宅療養管理指導  緊急通報装置給付貸与事業  グループホーム  車いす  ケアカンファレンス  ケア付マンション  ケアハウス  ケアプラン  ケアマネジャー  ケアマネジメント  経管栄養  軽費老人ホーム  ケースワーカー  健康型有料老人ホーム  言語聴覚士  見当識障害  高額介護サービス費  後期老年人口  高血圧症  膠原病  拘縮  高齢社会  高齢者虐待  「高齢者、身体障害者等が円滑に利用できる特定 建築物の建築の促進に関する法律」  高齢者世帯  高齢者総合相談センター  高齢者の居住の安定確保に関する法律  高齢者向け優良賃貸住宅  誤嚥  誤嚥性肺炎  国民生活センター  骨粗鬆症  ゴールドプラン21  コレクティブハウジング  さ 在宅医療  在宅介護  在宅介護支援センター  在宅酸素療法  在宅療養支援診療所  作業療法  作業療法士  施設サービス  施設サービス計画  市町村特別給付  失見当識  失語症  指定介護療養型医療施設  指定介護老人福祉施設  指定居宅介護支援事業者  シニア住宅  視能訓練士  社会福祉士  社会福祉主事  社会福祉法  社会保障  住宅型有料老人ホーム  巡回型ホームヘルプサービス  小規模生活単位型指定介護老人福祉施設  食事介護  褥瘡  ショートステイ  初老期認知症(痴呆)  シルバーハウジング  心筋梗塞  人口肛門  人工透析  寝食分離  心臓ペースメーカー  心不全  生活支援ハウス  生活保護  清拭  成年後見制度  政府管掌健康保険  世界保健機関  切迫性尿失禁  せん妄  前立腺肥大症  足浴  ソーシャルワーカー  措置制度  た 第一種社会福祉事業  第二種社会福祉事業  ターミナルケア  短期入所生活介護  短期入所療養介護  地域型支援センター  地域ケア会議  地域包括支援センター  痴呆  チームケア  中心静脈栄養  通所介護  通所リハビリテーション  痛風  デイケア  デイサービス  電動車いす  糖尿病  動脈硬化症  特定施設入居者生活介護  特別養護老人ホーム  な ナイト・ケア  日常生活動作  日常生活用具給付等事業  入浴介助  尿失禁  認知症(痴呆)  認知症高齢者  認知症高齢者グループホーム  認知症対応型共同生活介護  寝たきり老人  脳血管障害  脳血管性認知症(痴呆)  脳梗塞  脳出血  ノーマライゼーション  は 徘徊  徘徊感知機器  配食サービス  廃用症候群  8020運動  バリアフリー  日和見感染症  腹圧性尿失禁  福祉事務所  福祉人材センター  福祉用具  平均寿命  訪問介護  訪問看護  訪問入浴介護  訪問リハビリテーション  保健所  歩行器  ホスピス  補装具  ホームヘルパー  ボランティア  ま まだら認知症(痴呆)  ミキサー食  民間介護保険  や 有料老人ホーム  有料老人ホーム協会  ユニットケア  ユニバーサルデザイン  要介護状態  要介護度  要介護認定  要支援状態  予防給付  ら 理学療法  理学療法士  リバースモーゲージ  リハビリテーション  留置カテーテル  流動食  寮母  療養病床  老化  老人クラブ  老人性白内障  老人性認知症疾患療養病棟  老人福祉施設  老人福祉センター  老人福祉法  老人ホーム 

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