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2007年03月14日

廊下の幅が重要です

有料老人ホームの経営者は海千山千

 若いときはもちろんですが、70歳ぐらいまでは、経験もしくは失敗を積み重ねながら人は成長していくものだと思っています。しかしながら、老後というのはまったく逆です。だんだん足腰が弱り、記憶力が薄れていきますから、未知の世界に年々足を踏み入れていくようなものです。やることなすこと、初めての体験ばかりとなります。

 つまり、5年後の自分の身体はどうなっているのか、10年後の自分の判断力はどの程度まで落ちているのか、といったことはまだ見ぬ別世界なのです。ですから、有料老人ホームを選ぶにあたって、元気なときにホームを見学して回っていても、10年後もこの建物は自分にとって住みやすいのかどうか、介護が必要になったときに、このホームのサービスは自分にとっていいサービスなのかどうか、といったことを判断するのは非常に難しいと言えます。
 しかも、これだけ多くの入居者の集団生活を、いったいこのホームはまとめ上げていく力があるのかないのか、そこまで自分で調べろと言われたら、もはや不可能というものでしょう。たとえば、テレビというものを見たこともない人が、テレビを買いに行くようなものなのです。

 そこで、私の20年の現場体験から、有料老人ホームの見学や体験入居の極意をお話ししたいと思います。
 まず第一に、入居契約書のコピーをもらって、厚生労働省が行政指導で定めている「解約特例」という条文があるのかないのかをしっかりと確認することです。契約してから90日以内ならば、入居者はほとんど損害なく解約できるというのが「解約特例」です。
 この条文がなければ、ホーム側はサービス内容に自信をもっていない証拠ですし、入居者白身もホーム選びに失敗してもやり直しはききませんから、やめておいたほうが無難かもしれません。
 解約特例の条文があれば、次は施設のチェックをします。ホーム内がバリアフリーになっているかどうかですが、これはあまりにも当たり前なことです。大切なのは、ホームの周辺も坂や階段が少ないことです。というのも、ホームのなかは集団生活なので、息苦しさがどうしてもともないます。したがって、外出あるいは散歩が大変重要となります。それは身体の健康のためと同時に、心の健康のためにも必要なのです。

 しかし、だんだん足腰が衰えてくるのは避けられません。75歳のときにはまったく気にならなかったゆるやかな坂が、80歳になると傾斜のきつい坂に見えてきて歩くのが苦痛になります。出かけるときはゆるいくだりの坂だったのに、疲れてホームに帰ってくるときは、きつい上り坂ということですから、外出の回数がどうしても減ってしまいます。

 冒頭で、老化とはだんだんわからない世界に入っていくことだと述べましたが、ではそのわからない世界は調べようがないのかというと、実は方法はあります。それは、自分が車椅子に乗っていると想像することです。
 あるいは、ホームに見学に行ったときに、「私は足が弱っているので、車椅子を貸してくれませんか」と言って、ホームから車椅子を借りて見学するのも一つの方法です。車椅子から眺めてみると、トイレや食卓など、一つひとつを違った角度から見ることができます。
 じっくり見ていくと、それら一つひとつが細部にわたって高齢者用に工夫されていることを発見できるでしょう。「グリーン東京」では、食堂の家具はすべて特別注文です。車椅子の人が利用しても、足の先がテーブルの脚などにぶつかりません。ほとんどの椅子の肘掛けは座りやすいように片方しか用意されていません。

 見学する際に気をつけておきたいことは、車椅子にはかなりの横幅がありますから、廊下はある程度の幅がないと車椅子同士のすれ違いができません。この廊下の幅も、重要なチェックポイントです。廊下は、有料老人ホームの経営者から見ると、いちばん頭を悩ますものです。
 なぜかと言うと、食堂やロビーや風呂、医務室などは大切な共用部分であり、見学者もきちんとチェックされます。何よりも居室は入居者が最も注目する場所ですが、廊下に関しては見学者はその重要性についてだれも評価してくれないからです。
 ですから、10メートルの奥行きの建物があった場合、8メートルを部屋にして2メートルを廊下にするのか、それとも9メートルを居室部分に使って1メートルを廊下のスペースとして残すのか、そこを経営者はあれやこれやと考えるわけです。奥行き9メートルの居室のほうがずっと入居金を高く設定できますから、どうしても廊下の幅は削りたいという気持ちになりがちです。
 さらに経営者にとってつらいのは、有料老人ホームの廊下は両廊下ではなくて片廊下だということです。つまり、廊下の片側にだけ居室をつくることになります。というのも、お年寄りは日なたを好みますから、北側の居室は売れないという事情があるからです。そのために、廊下の南側にだけ居室をつくるわけです。

 これに対して、介護専用型の場合は両廊下がほとんどです。というのも、介護専用型のホームは、入居する本人が入るのを決断するというよりも、介護に困った子どもが老親を入れるわけですから、親の居室が南向きであろうがなかろうが、それほど気にならないからです。北側に面して居室があるということは、入居の可否を決断するのは入居者本人ではないということを如実に示しています。

 ホテルを考えると分かりやすいでしょう。つまり、100室のホテルがあるとすると、ホテルは廊下の両側に部屋が並んでいますから、廊下の長さは半分の50室分ですみます。しかし、有料老人ホームの場合、100室の部屋があれば100室分の廊下の長さが必要になるわけです。しかも、幅の広い廊下が必要です。したがって、建物の建設費のかなりの部分を廊下が占めてしまいます。

 では、廊下の効用とは何でしょうか。廊下の幅が車椅子二台分なければすれ違うことができないし、すれ違うことができなければ、車椅子の生活になったときに居室から廊下に出られません。共用部分にも行けなくなります。
 しかし、有料老人ホームにとっては、車椅子二台分の廊下の幅をとっても、まだまだ不十分です。なぜなら、廊下にはいろいろなものが置かれるからです。靴を脱ぎ捨てるように、車椅子が廊下に置かれていることもあります。そうなると、廊下は車椅子三台分の幅が必要になってくるのです。また、職員にとっても、廊下の幅が広ければ広いほど仕事がしやすくなります。
 さらに言えば、お風呂の湯舟にタオルをもち込むのはやめましょうとか、夜の八時半を過ぎたらテレビの音は小さくしましょうとか、いろいろな共同生活のルールがあるわけです。その中でも大きなルールは、お互いの部屋をできるだけ訪問しないというものです。訪問されるほうは相手の入室をなかなか拒否できませんし、早く帰ってほしい、などと思ったりするものです。

 そういう意味では、廊下での立ち話は重要です。「グリーン東京」でも、食堂から居室に帰るときに、エレベーターから同じ階で降りた2~3人が廊下で数分立ち話をしてから別れるという光景をよく目にします。

 また、有料老人ホームを選ぶときに、そのホームの経営理念を調べなさいとか、そこの経営者と話をしなさいというアドバイスがよくあります。しかし、それは決して信用してはいけません。経営者というものは海千山千ですから、どんな経営理念をもっていても、それを鵜呑みに信用したら危ないのです。
 代わりに、有料老人ホームの経営理念は、「嫌でしたら90日以内に解約していただければ、入居金はお返しします」という厚生労働省が指導している解約特例という条文が契約書にあるかどうかとか、あるいは廊下の幅で測ってください。全然、お金にはならないところですが、廊下の幅が広ければ職員は働きやすいし、いい介護ができるのです。あるいはまた、そこが社交の場となるわけです。
 廊下の幅を測るといっても、職員のいる前で露骨に物差しを取り出して測るわけにもいかないでしょう。そこで、たとえば紐を使ってみたらどうでしょうか。さりげなく紐で廊下の幅をチェックするのです。帰宅してから、その寸法を側ればいいでしょう。
 そうして5つ、6つのホームを見学していくと、このホームは何となく住みいいなという印象と廊下の幅が見事に比例するということがわかるはずです。

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投稿者: 日時: 2007年03月14日 09:39 | パーマリンク |TOPページへ   ▲画面上へ

廊下の幅が重要ですを最後までお読下さいましてありがとうございます。
用語解説

・ショートステイ
介護を行う家族が休養、病気などで一時的に介護が困難になった場合に、特別養護老人ホーム、有料老人ホームなどで一週間程度預かってもらい、介護の負担を軽くすることを目的にしたもの。
・通所介護
一般的に「デイサービス」と呼ばれ、在宅で介護を受けている人が、日帰りで施設サービスを利用すること。行き帰りの送迎や食事、入浴、レクレーションや機能訓練を受けることもできる
・特別養護老人ホーム
「介護老人福祉施設」とも呼ばれ常に介護を必要とする要介護度1以上の人が入所する施設。かかる費用としては平均月5万4000円と安価だが、入所待ち期間が2~3年で主に相部屋(現在は個室化が進んでいる)での入所生活を送ることになる。
・認知症
一度獲得した知能が、後天的に脳や身体疾患を原因として慢性的に低下をきたした状態で、社会生活、家庭生活に影響を及ぼす状態と定義されている。認知症をきたす疾患としては、アルツハイマー型が40数パーセントと最も多く、これに脳血管性型が30数パーセントで、この二つをあわせて、認知症の80% を占めている。認知症の約10%に、ホルモン異常やうつ病、中毒、正常圧水頭症、慢性硬膜下血腫といった早期に治療すれば治る可能性のある可逆性のものが含まれている。以前は痴呆症と呼ばれていた。

あ 悪性関節リウマチ  悪性腫瘍  アクティブ80ヘルスプラン  アセスメント  アニマル・セラピー  アルツハイマー型老年認知症(痴呆)  安楽死  医学的リハビリテーション  育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律  移送サービス  遺族年金  一級ホームヘルパー  一般型特定施設入居者生活介護  医療費  医療保険制度  インフォームド・コンセント  うつ病  運動療法  エアマット  NPO  MRSA  嚥下障害  音楽療法  オンブズマン制度  か 介護給付  介護記録  介護サービス計画  介護支援専門員  介護実習・普及センター  介護付有料老人ホーム(一般型)  介護付有料老人ホーム(外部サービス利用型)  介護認定審査会  介護福祉士  介助扶助  介護報酬  介護保険  介護保険施設  介護保険の第1号被保険者  介護保険の第2号被保険者  介護保険法  介護保険法の改正  介護予防  介護予防サービス  介護療養型医療施設  介護老人保健施設  介護老人福祉施設  疥癬  改訂長谷川式簡易知能評価スケール  外部サービス利用型特定施設入居者生活介護  かかりつけ医  核家族  仮性認知症(痴呆)  片麻痺(片まひ)  加齢  看護師  関節リウマチ  きざみ食  義肢  義肢装具士  ギャッチベッド  QOL  虚弱高齢者  居宅介護サービス費  居宅介護支援  居宅介護支援事業者  居宅介護住宅改修費  居宅介護福祉用具購入費  居宅サービス計画  居宅サービス事業者  居宅療養管理指導  緊急通報装置給付貸与事業  グループホーム  車いす  ケアカンファレンス  ケア付マンション  ケアハウス  ケアプラン  ケアマネジャー  ケアマネジメント  経管栄養  軽費老人ホーム  ケースワーカー  健康型有料老人ホーム  言語聴覚士  見当識障害  高額介護サービス費  後期老年人口  高血圧症  膠原病  拘縮  高齢社会  高齢者虐待  「高齢者、身体障害者等が円滑に利用できる特定 建築物の建築の促進に関する法律」  高齢者世帯  高齢者総合相談センター  高齢者の居住の安定確保に関する法律  高齢者向け優良賃貸住宅  誤嚥  誤嚥性肺炎  国民生活センター  骨粗鬆症  ゴールドプラン21  コレクティブハウジング  さ 在宅医療  在宅介護  在宅介護支援センター  在宅酸素療法  在宅療養支援診療所  作業療法  作業療法士  施設サービス  施設サービス計画  市町村特別給付  失見当識  失語症  指定介護療養型医療施設  指定介護老人福祉施設  指定居宅介護支援事業者  シニア住宅  視能訓練士  社会福祉士  社会福祉主事  社会福祉法  社会保障  住宅型有料老人ホーム  巡回型ホームヘルプサービス  小規模生活単位型指定介護老人福祉施設  食事介護  褥瘡  ショートステイ  初老期認知症(痴呆)  シルバーハウジング  心筋梗塞  人口肛門  人工透析  寝食分離  心臓ペースメーカー  心不全  生活支援ハウス  生活保護  清拭  成年後見制度  政府管掌健康保険  世界保健機関  切迫性尿失禁  せん妄  前立腺肥大症  足浴  ソーシャルワーカー  措置制度  た 第一種社会福祉事業  第二種社会福祉事業  ターミナルケア  短期入所生活介護  短期入所療養介護  地域型支援センター  地域ケア会議  地域包括支援センター  痴呆  チームケア  中心静脈栄養  通所介護  通所リハビリテーション  痛風  デイケア  デイサービス  電動車いす  糖尿病  動脈硬化症  特定施設入居者生活介護  特別養護老人ホーム  な ナイト・ケア  日常生活動作  日常生活用具給付等事業  入浴介助  尿失禁  認知症(痴呆)  認知症高齢者  認知症高齢者グループホーム  認知症対応型共同生活介護  寝たきり老人  脳血管障害  脳血管性認知症(痴呆)  脳梗塞  脳出血  ノーマライゼーション  は 徘徊  徘徊感知機器  配食サービス  廃用症候群  8020運動  バリアフリー  日和見感染症  腹圧性尿失禁  福祉事務所  福祉人材センター  福祉用具  平均寿命  訪問介護  訪問看護  訪問入浴介護  訪問リハビリテーション  保健所  歩行器  ホスピス  補装具  ホームヘルパー  ボランティア  ま まだら認知症(痴呆)  ミキサー食  民間介護保険  や 有料老人ホーム  有料老人ホーム協会  ユニットケア  ユニバーサルデザイン  要介護状態  要介護度  要介護認定  要支援状態  予防給付  ら 理学療法  理学療法士  リバースモーゲージ  リハビリテーション  留置カテーテル  流動食  寮母  療養病床  老化  老人クラブ  老人性白内障  老人性認知症疾患療養病棟  老人福祉施設  老人福祉センター  老人福祉法  老人ホーム 

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